お金の価値観と婚活

 結婚を考えるとき、お互いのお金の価値観、特に『お金の使いかた』についての価値観が近いかどうか、は非常に大切なものになります。また、結婚すると、以後は二人で生活を切り盛りしていくのですから、現実的な視点も大切になります。
 しかし、日本人に多い『お金の話をするのは良くない』という考えが、お互いのお金の価値観を知るうえでの大きな障害となります。実際、2023年に松井証券が行ったアンケートによると、『お相手のお金事情について話し合ったタイミング』については、『婚約後・結婚後』が43.7%、『交際中』が41.0%、『交際前』がわずか6.0%であることが判明しています。相手選びで重要な要素であるにも関わらず、お金事情については結婚を決めた婚約後に話した人が多いことが明らかになっています。
 では、どのようにして、お互いのお金の価値観を知り、合わせていくのがいいのでしょうか。今回は、このことを考えてみたいと思います。

目次

1.交際中にお金の価値観を知るべき理由
2.婚約後に、お金の価値観が原因で破談に
3.結婚後の生活の中で合わせるべきこと
4.まとめ

交際中にお金の価値観を知るべき理由

 ここでいうお金の価値観とは、主にお金の使い方になります。生活費をどうするか、とか、人生で何に重点的にお金を使うか、などです。
 稼げるお金には限度がありますから、そういう点をきちんとすることは大切ですし、重視するものが違いすぎると、結婚生活自体が維持できなくなり、離婚にもつながりかねません。
 年収については、プロフィールに記載がありますから事前にわかりますが、結婚後の生活費やお金の使い方については、お見合いが成立した後、つまり仮交際の段階でお互いの認識を揃えておくべきです。しかも、これは本人たちが努力しても認識のずれや確認の抜けがどうしても出てきてしまいます。
 ですから、成婚前に婚活アドバイザーを交えて、最終確認を行うのが理想的です。

婚約後に、お金の価値観が原因で破談に

 これは他社の事例ですが、このような事例があります。
 ある結婚相談所で、50 代の男性が真剣交際に進んだ女性ともう結婚できると思い込み、成婚料まで振り込んでしまったものの、後からお金について大きな意見の食い違いが明らかになった、というものがあります。
 男性は、自立した女性だから結婚後は対等に生活費を出し合うだろうと思っていましたが、女性は「結納金がほしい、生活費は男性が払うべき、私の成婚料も払ってほしい」と真逆の主張をしていることが分かり、破談となってしまいました。このときの相手女性は、別の結婚相談所の会員だったので、プロフィールに書かれていないお金の価値観は、デート中の会話を通して探る必要があります。双方が同一の相談所の会員の場合は、結納金や結婚式、指輪などの成婚にかかるお金、結婚後の生活費、結婚したらどこに家賃いくらで住む予定なのかまでお聞きし、漏れがないかどうか真剣交際の段階で三者面談をして、双方の同意が得られているかを直接確認しているそうです。
 また、どんな家庭で育ったのかは、金銭感覚を探る上で重要な点です。その環境が違うと、お金の価値観も違うからです。
 事例としては、当人同士の年収が釣り合っていても、経営者の家庭で育った人と、サラリーマン家庭で育った人で金銭感覚が大きく異なることから破談になった話です。
 ある男性は経営者の家庭の生まれで、実家では当たり前のようにお金の話が飛び交っていたので、デート中に「この肉は 100 グラムいくら」「飲食店の原価率は……」などと話したところ、サラリーマン家庭で育った女性は「デートでお金の話をするなんてげんなり」と感じ、気持ちが冷めてしまったそうです。一般論なので、家庭環境がそのまま経済観念の一致にはなりませんが、効率的な婚活をする上では、相手が育ってきたバックグラウンドをヒントにプロファイリングを進めると、お金についての価値観上相性の良い方と出会いやすくなる面があります。
 さらに、お金の使い方も人によっていろいろです。
 高収入男性だから浪費家かといえばそうではなく、節約意識が高い方もいます。例えば高収入の男性がテーマパークにおにぎりを持参したり、格安航空券や遠回りの鈍行列車を提案する例もありますが、その時に「ケチな行動をするということは、大切にされていない」と感じ不満を持つ婚活女性は少なくありません。逆に、二人で予算を決めて婚約指輪を買いに行ったのに、女性が店員に促されるままどんどん値段を釣り上げていってしまい、男性が付き合いきれなくなって破談になったケースもあります。
 お金の価値観については、交際中はもちろんのこと、成婚直前でも慎重にすり合わせましょう。

結婚後の生活の中で合わせるべきこと

 前回、相手の見るべきものについて、行動では<損得へのこだわり>について、と書きました。
 特に女性は、前述のように、「ケチな行動をするということは、自分はこの方に大切にされていない」と思う方が多いのですが、結婚後にパートナーが浪費するようだとどうでしょうか。生活が成り立たなくなるのではないでしょうか。
 また、前回『違和感は、スルーせずに照らし合わせましょう』とも書きました。これは、お金に対する考え方・使い方には、人間性が透けて見えるからです。そして、これらは、結婚生活を営むうえでのストレスのもとになりかねなく、少しのずれが破局に結び付く可能性があるのです。
 ただ、中にはこんな人もいます。
 ある女性の話ですが、ケチ臭いけど、それ以外では魅力のある相手がいて、あるとき、こんなことを打ち明けられたそうです。
それは、相手は以前、交際していた女性が数人いたが、その相手はことごとく勘定を、割り勘することなく自分に押し付け、そしてお礼も言わずにいつのまにか自分の前から姿を消していったそうです。そういうことが何回もあったためか、婚活では安く済ませる方がいいと自分で予防線を張っていた、とのことでした。
 こういう話はしづらいものですが、そういう弱音を出せる雰囲気を作れば、何でそうなったかを知ることができるかもしれません。さらに、そこで態度を改められるかも重要な判断材料になります。
 ともあれ、結婚を考えるなら、結婚後の生活を意識する必要があります。もちろん、細かく考えるのではなく、大まかなものでいいのですが、お金の使い方に関しても価値観をすり合わせ、自分が疲れないかどうかを判断する必要はあるでしょう。

まとめ

 今回は婚活における、結婚後を見据えたお金の話をしましたが、勘違いしてほしくないのは、もちろんお金だけで相手を判断することをよしとしているのではなく、相手が育った環境を知ることで自分の価値観と合うか、自分の思い描く結婚生活に合うか見極めてほしいということです。
 交際中はデートを楽しむ気持ちは持ちつつも、それだけではいけません。深いコミュニケーションを取り、結婚後の家計まで見据えられるようになってからが本番です。
 弊社の相談員は、ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、家計相談の実績もあります。ぜひ、お金に関する質問などをして、いい結婚に結びつけてください。

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